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東京…… 2010/02/07
田舎で生まれ育った人間にとって、東京はほんとうに遠く、大きい街です。自分が暮らし始めても、東京には叶わない、東京にまだ受け入れられていないという疎外感がずっとありました。東京に負けそうで、必死にがんばった。東京に負けてたまるか。そんな思いは、東京に生まれ育った人にはわからないのかもしれません。映画の中で、偶然、美しい女性に出会った主人公(三村さん)が、ひとりになって思わず、「東京……」とつぶやきます。たったそのひと言で、僕は涙が出そうになります。たったそんなひと言を主人公につぶやかせてくれるこの映画がいかに繊細で心のこもった作品か。原案者として、この上ない喜びです。
公開目前、みどころを少し 2010/01/30
試写はこれまで4回見ました。2回目を見終わったころから「毎日見たい!」と思うようになりました。なんだか恋しい、《かずら》の世界が……。映画って不思議な力があるんですね。今回、改めて感じました。いよいよ今日から公開です。たくさんの人が見に来てくれるといいなあ……。今日のお昼には《王様のブランチ》でも映画や著書を紹介してもらえるそうです。映画の内容はあまり詳しく言いませんが、僕が好きなシーンをいくつか挙げると……。扇風機のシーン、三村さんが大竹さんに大声で決断を迫られるシーン、遊園地のシーン、友の会の友情、そしてもちろんクライマックスでの……。これじゃわかんないでしょうが、見てもらえたらわかります。早く映画《かずら》を共有して、いままでできなかったより深いカツラーの話も聞いてください!
試写会の感想(その2) 2010/01/29
試写室を出て、虎ノ門の大通りを歩きながら、ふと(35年もかかったんだなあ) 感慨が湧き上がった。思わず、大都会・東京のビルの林を見上げる。高校を卒業して、東京に来てからちょうど35年が経った。35年だなんて、そんな長い年月を遡れるようになった自分を不思議に思う。いつまでも「まだ若い」と思っていたのに、そんな歳になってしまった。あのころ、東京タワーや霞ヶ関ビルを見上げながら、僕は何を夢見ていたのか。誰かに将来の夢を聞かれるたびに言っていた。「作家になります。自分の書いた作品が映画になるような……」、それが雪国から上京した僕の志だった。作家のはしくれにはなった。けれど、なかなか物語と呼べるような作品には到達しないまま、35年も経ってしまった。そして今回、原案・監修ではあるけれど、自分の作品が初めて映画になった。(35年はかかりすぎだろう。なんでこんなに遠回りをしたんだろう) 自分がバカバカしくも思える。もっとサッと、ここにたどり着く方法はあったはずだ。この業界には大学生のころから入っていたのだから……。なんと、不器用なことか。それが自分の人生なのだとすぐ納得しながら、35年はかかったけれど、道草しながらなんとかたどり着いた自分は幸せ者だと思った。
試写会の感想(その1) 2010/01/28
初めて映画《かずら》を見たのは、11月20日。虎ノ門にあるポニーキャニオンの試写室。始まってしばらくは、なんだか不思議な感じ。自分が単行本《カツラーの秘密》に書いたエピソードが次々に展開する。自分のことだけに、第三者が見てどう感じるのか、まったく想像ができない。客観的でなく映画を見るという初めての体験。少しして、そんなぎこちなさが消えて、素直に映画にのめり込んでいる自分がいた。知らず知らず、涙が頬を伝う。すごく感動して、とか、胸にグッと来て、じゃないのに、ところどころで涙がこぼれる。意識とは別に、勝手に涙が出て頬を伝う感じなのだ。悲しいのでなく、心が温かくなる……。これもまた、不思議な感じ。エンドロールが流れるときには、熱心に映画化への情熱を抱き続けてくれたホリプロの三瓶慶介プロデューサーへの感謝、カツラをただ笑いものでなくあったかく描いてくれた塚本連平監督への感謝でいっぱいだった。そしてもちろん、この映画への出演を決断してくれたさまぁ〜ずのおふたりにも。
映画《かずら》いよいよ公開 2010/01/26
映画《かずら》がいよいよ今週土曜(1月30日)から公開になります。主演はさま〜ぁずの三村マサカズさん。謎のカツラ屋さんの役で大竹一樹さんも登場。恋人役は芦名星さんです。建設会社で設計を担当するサラリーマンの森山茂(三村さん)が、転勤で上京するのを機にカツラを着けて「人生を変えたい」と願う。でも、カツラにしたら気苦労も多く、仕事に支障もきたす。そんなとき、牧田涼子(芦名星)という女性に出会う。少しずつ、いい感じになるのだけれど、茂はカツラのことが気になってなかなか恋を進展させることができない。カツラーのカツラをめぐるラブストーリーです。渋谷シネクイントほか、名古屋、大阪、福岡、札幌で公開されます。カツラーもカツラーでない人も、ぜひご覧ください。
新連載 続・カツラーの秘密 2009/10/19
 連載のはじめに(連載第0回)

 単行本《カツラーの秘密》を出版してからまもなく十年になります。出版直後から、思いがけず大きな反響をいただき、様々な経験、出会い、発信を重ねて来ました。
「明るくカツラの話ができる世の中の雰囲気を作りたい」「企業の宣伝情報だけでなく、実際に使っている人たちの素直な体験談を届けたい」「薄毛で悩んだ上に、カツラで悩む人をなくしたい」、そんな願いから、カツラをテーマに発信を続けてきました。
 カツラをめぐる状況は、この十年で好転したでしょうか? 薄毛に悩む男性の心の傷みは十年前よりやわらいだでしょうか? まだ不十分だと感じます。
「髪が薄くたっていいじゃない。女性は男性の髪をそれほど気にしていませんよ」
 多くの女性が、僕にそう言い、「そんなことで悩むなんてもったいない」と励まして(?)くれることがしばしばあります。
「そもそも、小林さんはなぜ、髪が薄くなることにそれほど抵抗を感じたのですか?」
 そう訊かれると、返す言葉がありません。
「だって、そんなの、理屈抜きでしょう」
 苦し紛れに答える一方で、
(たしかに、なぜ、ハゲるのがあんなに怖かったんだろう)
 自分自身の心に問いかけると、はっきりしないところがあります。
 単行本《カツラーの秘密》以来、カツラをテーマに4冊の本を書きました。「面白かった」「笑いが止まりませんでした」、読者からそんな風に言ってもらえるのは書き手として本望です。でも、振り返ると、まだきちんと書いていない面がある。それは、ハゲと向き合うことのできなかった自分自身の気持ち。
 今度の連載は決して、読んで笑えるばかりのコラムにならないかもしれません。なぜハゲがイヤだったのか、なぜカツラに活路を求めたのか、その行動の背景にあった、自分自身の心根と向き合ってみようと考えています。
 同時に、周囲の人たちは、他人のハゲやカツラをどんな風に感じているのか。その本音をできるだけ聞いて、伝えたい。そんな思いを持って、新しい連載コラムを発信します。

《お願い》
この連載コラムを読んでお感じになったこと、ご自身の体験や気持ちを思い出されたことがあれば、どうぞメールでお寄せください。この連載、そしていま新たに執筆中の単行本に反映させていただきます。どうぞ一緒に、カツラ・薄毛の意識改革・情報発信に参加してください。お寄せいただいたメールは、匿名扱いにした上で、私の著作に引用させていただく場合があります。予めご了承ください。

メールの送り先
nobuya-k@s-move.jp